プロジェクトを任されたときの心構え
唐突ですが、Responsibility(責任)の単語は、”Response” + ”ability” に分解することができます。”ability” は能力、性能、力量の意味です。一方の “Response” は応答、反応、手応えといった意味ですが、その語源は「約束を返す」だそうです。 責任を取る立場になることは、「約束を果たす」役割を持つことです。
プロジェクトの初期段階からプロジェクトマネージャを担っているとき、あるいはプロジェクトの途中でプロジェクトマネージャを引き継いだとき、その時点でプロジェクトの責任はマネージャに求められるようになります。任命されたら、「約束を果たす役割を得た」と考えることによって、プロジェクトを「自分ゴト」として捉えることができるようになります。
約束を果たすための4つの覚悟
まず、他責にならないこと。
特にプロジェクトを引き継いだとき、状況が芳しくないこともあります。原因を探る必要はありますが、人を責める気持ち=他責にならず、事実を洗い出すことに注力するべきです。指を自分に向けてください。この状況を、あなたはどうしたいですか。
二つ目は、被害者意識を捨てること。
プロジェクトは簡単なものばかりではありません。むしろ簡単なほうが稀です。「たいへんなプロジェクトを引き継がされた。重い責任を追わされた」など受動態の被害者意識が役に立つことはありません。プロジェクトチームにもそれは伝播してしまい、まるで自分たちが加害者のような感覚を持ってしまいます。まったく建設的ではありません。
ここでも自分に指を向け、自分ならどうしていきたいのか、どう変化させていきたいのか、にフォーカスします。
三つ目は、腹を決めること。
「腹を決める」というのは具体的な行動ではないので、行動の例を一つあげると、「自分がリーダーであること」を知らしめ、「リーダーにふさわしいこと」を示すことです。虚勢をはったり、背伸びをする必要はありません。「これから私が指揮を執りますよ」「矢面に立つのは私ですよ」ということを伝えればよいのです。
物理的にメンバーの前に立ち、一歩前に出る、先頭に立って話をすることです。オンラインの会議では、カメラをONにして存在感を強調すると良いです。メンバーの目を、自分の方へ向けることです。そうすれば、メンバーはリーダーの相談に乗ってくれることでしょう。
そして最後に、「主語を自分にする」こと。
前述の3点でも繰り返し述べていますが、思考も言動も、主語を自分にすることで、主体的にプロジェクトに取り組むことができます。同時に、有形無形でメンバーにも伝わります。
プロジェクトマネージャやリーダーは、ポジティブを心がけましょう。「きっと、うまくいく」と信じることは、自己効力感を増し、建設的に前進する手助けとなります。ただし同時に、プロジェクトの状況が危機的であるとか、状況は事実として共通認識を持つことも必要です。
また、プロジェクトマネージャやリーダーは「役割」と割り切りましょう。どんなにひどい状況であっても命を取られることはないし、人間性を否定されるような物言いをされても、リーダーという「役割」に対しての評価と捉え、必要以上に影響されないことです。