プロジェクトを診る
まずはプロジェクトに対する理解を深める必要があります。
プロジェクト開始段階からプロジェクトマネージャを担っている場合はともかくとして、途中で引き継いだ場合は特に、プロジェクトを「診る=診断する」ことが必要になってきます。トラブルプロジェクトでは、実態がよくわからない状態になっていることが少なくありません。資料と実態が乖離している場合もあります。資料だけを「見て」、それが真実だと理解してしまっては、プロジェクトを「診て」いることにはなりません。
前任者やプロジェクトメンバーに現状を尋ねるとき、その経緯や背景を掘り下げてみてください。「それはなぜですか?」の問いかけで真実に近づいていくことができると思います。また、事実のように語られる内容も、言い方は悪いですが信憑性に疑問を持つことが必要です。
- それは誰が言ったのですか?
- それはあなたの意見ですか?
- その原因は何だと思いますか?
- それは何の資料を見ればわかりますか?
上記のように尋ねていくと、実は「みんながそう言っているからそういうものだと思っていた」「原因は把握していない」「どこの資料だったかな・・(あるいは資料には載っていない)」などという答えが返ってきたりします。ただしここで、メンバーを責めることは禁物です。そのように考えるに至った背景を探っているので、プロジェクト全体の問題と考えるのが正しい姿勢です。
課題管理台帳を診る
また、プロジェクト状況の実態を探る手段として、「課題管理台帳の記載レベル」を評価するやり方があります。以下のような点をチェックします。
- そもそも管理台帳がない
- 台帳はあるが更新頻度が低い(通常、課題は日々発生するもの)
- 担当者と期限の設定がない
- 起票〜完了のプロセスが定義されていない(誰が起票するか、誰が承認するか、誰がクローズするか)
進捗資料はその時点のスナップショットですが、課題管理台帳は生きているプロジェクトを映すべき資料ですので、この鮮度が低そうであれば、プロジェクト状況は良くないと言わざるを得ません。
メンバーの立場から見れば、通常の作業のほかに記入すべきドキュメントが増えるので、面倒と感じるかもしれません。しかし、課題を提起することで、その課題は個人のものではなくプロジェクトの課題となるので、抱え込まないためにも記録してもらうことが重要です。タイムリーに記載をしておかないと、プロジェクトを「見えなくしている」過失となります。
現場初日に見るべき「現場検証10のポイント」
何となく違和感を感じる項目がある場合は、そこに問題が潜んでいる可能性があります。
- ホワイトボード:あるか?活用されている形跡はあるか?
- 机の上の状態:片付いているか?乱雑でないか?
- 会議室の数と広さ:プロジェクトに十分な物量があるか?
- 座席の配置:物理的に離れていてコミュニケーションを阻害していることはないか?
- 会議の内容:必要な内容で、必要なときに、必要なメンバーで行われているか?
- メンバーの年齢構成:発言機会に偏りがある場合も
- 服装:身だしなみは整っているか、疲弊感はないか?
- 昼食時間の行動:会話があるか、別々の方向を向いていないか?
- 会話の量:指示と報告のような、必要最低限の会話だけになっていないか?
- 勤務時間:ルーズになっていないか?残業が常態化していないか?