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プロジェクトリカバリのコツとヒント(2)

プロジェクトを診る


まずはプロジェクトに対する理解を深める必要があります。

 

プロジェクト開始段階からプロジェクトマネージャを担っている場合はともかくとして、途中で引き継いだ場合は特に、プロジェクトを「診る=診断する」ことが必要になってきます。トラブルプロジェクトでは、実態がよくわからない状態になっていることが少なくありません。資料と実態が乖離している場合もあります。資料だけを「見て」、それが真実だと理解してしまっては、プロジェクトを「診て」いることにはなりません。

 


前任者やプロジェクトメンバーに現状を尋ねるとき、その経緯や背景を掘り下げてみてください。「それはなぜですか?」の問いかけで真実に近づいていくことができると思います。また、事実のように語られる内容も、言い方は悪いですが信憑性に疑問を持つことが必要です。

  • それは誰が言ったのですか?
  • それはあなたの意見ですか?
  • その原因は何だと思いますか?
  • それは何の資料を見ればわかりますか?

上記のように尋ねていくと、実は「みんながそう言っているからそういうものだと思っていた」「原因は把握していない」「どこの資料だったかな・・(あるいは資料には載っていない)」などという答えが返ってきたりします。ただしここで、メンバーを責めることは禁物です。そのように考えるに至った背景を探っているので、プロジェクト全体の問題と考えるのが正しい姿勢です。

 

課題管理台帳を診る

また、プロジェクト状況の実態を探る手段として、「課題管理台帳の記載レベル」を評価するやり方があります。以下のような点をチェックします。

  • そもそも管理台帳がない
  • 台帳はあるが更新頻度が低い(通常、課題は日々発生するもの)
  • 担当者と期限の設定がない
  • 起票〜完了のプロセスが定義されていない(誰が起票するか、誰が承認するか、誰がクローズするか)

進捗資料はその時点のスナップショットですが、課題管理台帳は生きているプロジェクトを映すべき資料ですので、この鮮度が低そうであれば、プロジェクト状況は良くないと言わざるを得ません。

 

メンバーの立場から見れば、通常の作業のほかに記入すべきドキュメントが増えるので、面倒と感じるかもしれません。しかし、課題を提起することで、その課題は個人のものではなくプロジェクトの課題となるので、抱え込まないためにも記録してもらうことが重要です。タイムリーに記載をしておかないと、プロジェクトを「見えなくしている」過失となります。

 

現場初日に見るべき「現場検証10のポイント」

何となく違和感を感じる項目がある場合は、そこに問題が潜んでいる可能性があります。

  1. ホワイトボード:あるか?活用されている形跡はあるか?
  2. 机の上の状態:片付いているか?乱雑でないか?
  3. 会議室の数と広さ:プロジェクトに十分な物量があるか?
  4. 座席の配置:物理的に離れていてコミュニケーションを阻害していることはないか?
  5. 会議の内容:必要な内容で、必要なときに、必要なメンバーで行われているか?
  6. メンバーの年齢構成:発言機会に偏りがある場合も
  7. 服装:身だしなみは整っているか、疲弊感はないか?
  8. 昼食時間の行動:会話があるか、別々の方向を向いていないか?
  9. 会話の量:指示と報告のような、必要最低限の会話だけになっていないか?
  10. 勤務時間:ルーズになっていないか?残業が常態化していないか?
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