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ファシリテーションから瞑想まで

テレワークというとカメラを通じて顔を映してコミュニケーションをとるイメージがありますが、私の職場などは通信回線の逼迫を防ぐために、資料共有はOKでも、カメラは原則OFFにするガイドラインがあります。
タッチパネルなどの外部デバイスの接続もできないので、ホワイトボード機能を使ってもマウスでの描画しかできず、たいへんに使いにくい。こうなると音声コミュニケーションの状態に近くなってきます。

そのような環境下でのプロジェクトマネジメント業務、とりわけ概念的な情報共有や、チーム内のコンフリクトマネジメントのような場面で、ファシリテーションスキルの大切さと、コミュニケーションツールの変化への対応の必要性を感じています。「ファシリテーター」は、プロジェクトマネージャに求められる役割のひとつです*1

 

音声だけでは You vs Me になりがち

定例会議など準備に時間の取れる会議ならともかく、プロジェクト期間中に生じる随時のミーティングでは、事前資料がない場合もあるでしょう。

ホワイトボードも使えず、身振り手振りで空間を使うこともできず、音声だけのコミニケーションに近くなっていくと、会話は空中戦になりやすいのではないでしょうか。メラビアンの法則よろしく、リアルで会話しているときの情報量とは比較になりません。

 

こうした状況では、意見や考え方の対立はどうしても「you vs me」に陥りやすいと感じています。ある問題・課題について話をしているのに、どうしてもスピーカーと意見を同一に見てしまう。そんなことはないでしょうか。

おそらくですが、リアルで会話していると、自然と「スピーカーのひととなり」と「資料や意見」を別物として捉えやすくなるのではないかと思います。視覚・聴覚などから得られる情報量が多いせいかもしれません。わかりやすく理解するために分離して受け取るような感覚があります。


本来の「Problem vs Us」へシフトしていくために、プロジェクトマネージャには、これまで以上にファシリテーションスキルが必要だと感じるのですが、体系的に学べる機会があまりないのが実態ではないでしょうか。

 

ファシリテーションには概念化スキルが必要

ロバート・カッツによって提唱された、ビジネススキルと人材の関係性を整理した「カッツ理論」では、ミドルマネジメントからトップマネジメントに近づくにつれ、「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」に加えて「コンセプチュアルスキル」が必要になってくるとされています。

 

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前述のような環境におけるファシリテータに求められるのは、「コンセプチュアルスキル(概念化スキル)」ではないでしょうか。コンフリクト状態を俯瞰し、より高い視座に立って事象を概念化し、可視化することで、「Problem vs Us」へ状態を持っていくことができるのでは、と感じています。

 

概念化とメタ認知ー瞑想が役立つー

概念化スキルを身につけていくのに、瞑想が役立つのでは、と思います。

概念化は、言い換えると抽象化だとか、事象の客観視であると捉えることができるでしょう。瞑想は自らを客観視する、「メタ認知」の力を養うのによいとされていて、私自身も瞑想を始めてから、メタ認知力が少しずつ上向いていると感じています。コンフリクトが生じた場面において、「ちょっと待てよ、客観的にこの事象を捉えるとどうなる?」と考えることが、「You vs Me → Problem vs Us」に繋がるなら、瞑想によるトレーニングはテレワークのコミュニケーションの質向上に寄与するのかもしれません。

 

参考

objectclub.jp

朝会ガイド、振り返りガイドなどずっと前から活動しています。

 

 

 ファシリテーションのためのテクニカルスキル、といった内容ですがわかりやすくてモチベーションが上がります。

 

freeconsultant.jp

juasseminar.jp

*1:「プロジェクト・マネジャーの人間術」より。

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