知者は水を樂しみ、仁者は山を樂しむ

お城、読書、プロジェクトマネジメント。ユーザ系IT企業 中間管理職のつれづれ

「藁を手に旅に出よう」

職場で、入社5年目くらいの若手にお薦め本を紹介してほしいと依頼を受けて、読書メーターの記録から引っ張り出して20冊弱を選びました。しかし社会人20年のあいだに読んできた本なので古いものも多く、もっと新しい、良い本があればと思って調べていたところ、この記事に当たりました。

style.nikkei.com

 

ストレングスファインダーは読了し、その効果も実感しているので、「私のお勧め本リスト」にも含まれていましたが、もう1冊が「藁を手に旅に出よう」。書店でタイトルだけ見ても手に取りそうにないです。しかも表紙がコミカルな漫画なので、ビジネス書のイメージとも違う。スルーしようかとも思いましたが、ちょっと頭を柔らかくしようかなと思い直して読んでみました。そしたら一気読み。

 

新入社員教育と3年目研修

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ストーリーは、新入社員のサカモト君を主人公として、前半は新入社員教育、後半は3年目研修を舞台に、人事部の石川部長と新入社員との問いと気づきを、わかりやすい章立てで展開していきます。

石川部長の研修は、「何かを教える」のではなく、論理、世界観、目的と手段、などといった、言葉ではわかるけど・・という概念を、寓話を使ってインタラクティブに説いていく形式で、石川部長からの「問いかけ」や「視点の転換」が軸になっています。

 

桃太郎に大義はあったのか

しばらく前に「二元論はうってつけ」という記事を書きました。

birdie-chance92.hatenablog.com

自分は「ただしい側の人間だ」と思いたい

二元論が非常に魅力的な世界観なのは、人類の思想にとって根本的な関心事の一つである、有名な「悪の問題」に、それが短くて単純な答えを出せるからだ。 (「サピエンス全史」より

 

例えば、「桃太郎に大義はあったのか」との問いから始まるストーリーでは、「鬼=悪者」というラベルを貼ってでっちあげの大義を作った…とも言えると述べています。鬼の立場に立ってみると、事実無根のことから悪者とされ、テロリスト桃太郎の急襲を受けたわけです。(桃太郎をこき下ろす物語ではありません。念のため)

 

コーチング的視点から

石川部長は、ティーチングではなくコーチングに近いスタイルをとっています。1対1ではありませんが、全体がインタラクティブなので、「それぞれの視点・角度から見た考え方」がとてもよく伝わってきます。

ある小説では、自分の考え方を補強するために他者からの質問を受けるべし、というメッセージがあり、こちらも思い出しました。独りよがりにならないために、こうした「対話」は重要なのだと再認識しました。

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