「ジョブ型雇用」と「成果主義」、何となく近しいような印象もありますが別物ですね。下記サイトの記事にもあるように、コロナ禍によるテレワークの浸透で、そうしたことを尚更考える必要が増してきています。
今年は新型コロナウイルスによってテレワークへ移行されることで、成果主義の側面が強くなり、これまでの雇用のあり方が見直されるきっかけになったと言えるでしょう。メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への導入が加速した1年でもありました。
たしかに。
ジョブ型雇用と成果主義の違い
ジョブ型雇用は「雇用の一つの型」であり、成果主義は「評価における考え方・スタンス」なのでまったく別物ですが、テレワークは2つを同時に課題として提示してきたわけです。「雇用」については、ある一定レベル以上のマネジメントで人事権を持つ者、あるいは人事部門の範疇ですが、「評価」は少しでも部下や後進者を持つミドルマネジメントであれば常に直面する問題です。
テレワークで成果主義に傾きつつあることを実感
働いている様子をリアルで目に触れる機会が少なくなっているテレワークでは、作業プロセスを他者へ共有したり、他者のプロセスに触れる機会も同時に減少しています。相手が、毎日会話をするようなチームメンバーならともかく、日常的に直接の接点がないけれども同じ組織の成員である場合には、「結果で判断するか」となりがちなのではないでしょうか。
成果主義がもたらすマイナスの状況
マネジメントの思考が成果主義に傾いていくとどういう状況が生まれるのか。
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2020年7月号に、参考になる記事があったので該当部分をまとめてメモします。
- 成果への強い圧力のもとでは、「最終結果への意識」が強くなる。
- 最終結果への意識が強いことで、次のような状況が起こりやすくなる。
- 不正が起こりやすい
- 一面的思考
- 貨幣価値の重視
- 狭い視野での責任を考えること
- 競争的思考
- より手っ取り早い解決に向かいやすい
- 現場の疲弊
- マネジメントにおいては、徐々に「最終結果への意識が強くなる」ことに加えて、「管理の強化・精緻化を招くこと」が起こりやすくなる
- これらは、悪循環に陥りやすいこと、起きていることに気づきにくいことから、リーダーをつまづきやすくする。
リーダーとしての留意事項
「テレワークにより助長された成果主義」と、「成果主義がもたらす状況」を照らし合わせると、コロナ禍の2年間で徐々に感じてきていたことと符合するように感じます。競争的になる人がいる一方で、責任範囲が矮小化する人も。心理的安全性が注目されているのも、こうした背景があるのでしょう。
リーダー、マネジメントとしては「起きていることに気づきにくい」「悪循環に陥りやすい」点をしっかり意識して取り組んでいきたいものです。