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プロジェクトリーダーの教科書

久しぶりにPMBOKに基づいた解説書的な書籍を読みました。PMPを取得してからずいぶん我流でやってきたものだと反省。著者の経験と、さまざまな理論を裏付けにした解説で、含蓄のある内容でした。やはり未経験で勉強したことと、経験してから勉強するのとでは臓腑への染み込みかたが違いますね。

Evernoteにメモした内容から抜粋してこちらに記録します。

 

外資系コンサルが教える難題を解決する12ステップ プロジェクトリーダーの教科書
 

 

プロセスとテンプレート

近頃はコンサルティング会社の方と協働するプロジェクトが多いのですが、本書と照らしてみると、コンサルタントは「プロセスとテンプレート」が際立っていると改めて実感。裏側には様々な理論があるのだと思いますが、コンサルタントの成果物や振る舞いを見ていると、あまり理論を感じることはなく、プロセスを得意とし、プロセスも含めたテンプレートに素早く当てはめて成果を出していると感じます。(それが良いとか悪いとかではなく、それが彼らの強み。)

 

よってこうしたテンプレートは探せばいくらでもあるので、一つ一つ取り上げてもキリがありませんが、私自身の職場であまり活用されていないと感じたポイントを記載します。

  • スコープ定義:「やらないこと」を明記する。境界線の明示。
  • 責任分担表:肩書きだけしか定義せず、解釈が人それぞれになりがち。
     「統括PM」って何する人?みたいな。
  • プロジェクトルール:「プロジェクト辞書」を作成することを含める。
  • ルール化のプロセス:目的の明確化→設計→周知→運用→ルールの見直し

 

理論

理論を振りかざしてマネジメントするのは避けたいところです。
影響力の発揮のしかたとして、理論を前面に出すのは好ましくないと感じます。
一方で、理論に裏付けされたマネジメントは、行動の軸になり芯を通す効果があるはずです。私が直面しているプロジェクト運営上の課題は、タックマン・モデルの「混乱期」にあること、SL理論のレディネス3に相当するリーダとのコミュニケーションに迷っていることに要因があると気づきました。

■チーム・ライフサイクル(タックマン・モデル)

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  • どんなに経験豊富で優秀なメンバーが集まっても、すぐに集団がチームとしてパフォーマンスを発揮するわけでは無い。一定の期間を通じて、これらの4段階を全て経ていく必要がある。
  • どんなプロジェクトも、時間が経つと必ず「混乱期」が訪れる。可能性は100%。
  • 組織は、常にタックマン・モデルの左から右へ順方向で成長するわけではなく、メンバーの入れ替わりや追加によって、組織は前段階に戻る可能性もある。
  • 混乱期にこそ、チームへと進化するカギがある。

 

■SL理論(Situational Leadership)

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コーチングをビジネスに活かす」をテーマにした研修を受講したことがあります。「クライアントに答えがあると信じる」のが基本スタンスのコーチングを、ビジネスのあらゆる場面に適用できるのか懐疑的でしたが、その折に講師から説明があったのが、このSL理論に基づいたコーチングの活用でした。つまり、もっともコーチングスタイルが適するのがレディネスR2の場合なのですね。「ティーチングか、コーチングか」という二元論でもないことが、この理論で示されています。

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