PMPのCCRSサイクルを、今回はだいぶ前倒しでクリアすることができました。特に寄与したのが、プロジェクトマネジメントに直結はしないものの、リーダーシップスキル伸長に繋がると考えた講習の受講を、計30PDU申請したことです。とはいえ、振り返るともう少し計画的に消化すればよかったと思う点もあり、本サイクルの記録と次への持ち越し課題としてメモしておこうと思います。
1. CCRSサイクルの仕組みとPDF要件
PMPホルダーは、資格維持要件として、3年サイクルの "CCRS (Continuing Certification Record System)" に沿って、プロフェッショナルとしての経験や研鑽を重ねていくことが求められています。積み上げていくポイントは「PDU "Professional Development Unit"」と呼ばれ、原則として1時間で1PDUでカウントします。これを3年間の1サイクルで、60PDUを獲得する必要があります。
PDUの獲得方法は様々あって、大きくは Education(学習・教育)と Giving back(ギブバック、直訳すると”恩返し”ですが、つまりプロフェッショナルとしての実践・活動ですね)に分かれます。
- Education
・Course or Trainings (研修コース、トレーニングコースなど)
・Organization Meetings (非公式の学習)
・Online or Digital Media (オンライン教材、デジタルメディア)
・Read (読書)
・Informal Learning (学習会、読書会など) - Giving back
・Work as a Practitioner (PM業務など)
・Create Content (ブログ等の執筆)
・Give a Presentation (プレゼンテーション)
・Share Knowledge (知識共有)
・Volunteer (ボランティア)
特徴としては、Education 領域は、タレントトライアングルと言って、"Technical", "Leadership", "Strategic & Business" の各分野で最低8PDU(8時間)以上の教育・研修を受けることが条件とされ、かつ合計35PDU(35時間)が必要です。つまり内容が偏ってもいけないし、各分野最低時間数では24PDUにしかならないので、さらなる上積みとして、自ら選んだ分野の学習が必要です。
一方で、Giving back 領域については、”Work as a Practitioner" が上限8PDUであり、合計も上限25PDU。つまり実践は求められているものの、実践だけでは要件を満たすことができず、学習とセットで研鑽していくことが要求されています。
PMPの資格維持目的にとらわれず、バランスよく学習と実践を継続していける仕組みだと捉えると、プロフェッショナルの自覚やモチベーション、ワクワク感が上がる気がしますね。ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)にも少し通じるところがあるように感じます。
2. 60PDU到達の内訳
冒頭で述べたように、本サイクルでは研修受講で40PDUを申請したことで大部分の要件を満たしていて、3年サイクルのうち2年以上を残して "Cycle Complete" となりました。
では、その内訳です。
Education
- Course or Trainings (研修コース、トレーニングコースなど)30PDU
コーチングの研修を受講していたこともあり、タレントトライアングルの Leadership, Strategic の領域でそれぞれ申請。プロジェクトマネジメント業務をより効果的に進めることに役立っている実感があります。 - Online or Digital Media (オンライン教材、デジタルメディア)1PDU
projectmanagement.comの公式Webinar聴講。英語教材。
初めて受講しましたが、平易な内容を選んだこともあり英語もなんとか理解できました。受講するとPDUの申請まで自動で完結するのでらくちんです。 - Read (読書)23PDU
以下3冊分を申請。
Giving Back
- Work as a Practitioner (PM業務など) 8PDU
プロジェクトマネージャを担ったシステム開発案件を対象に申請。
8時間どころではない労力を投入していますが、最大8PDUまでしか申請できないので。
以上。
3.考察と反省
- PDU目的ではなく受講したコーチング講座でしたが、「これはプロジェクトマネジメントに効果がありそうだ」と気づいたのがきっかけで申請しました。たまたま今回のCCRSサイクルの期間中に30時間分の受講をしたので、これだけで要件の半分に到達。
しかし同じシリーズの講習だったことから、タレントトライアングルはLeadershipに偏りがちでした。WebinarとReadで補った感があります。 - projectmanagement.comの公式Webinarは英語なのでハードルを感じましたが、プレゼンテーションを見ながらなので、おおよそは理解できたと思います。
気になるテーマがあれば無料で受講できてPDUも申請できるので、学ぶ気持ちさえあればお買い得です。何よりも、学ぶことを推奨しているPMIが提供している「学ぶ機会」なので、これを活かす手はないでしょう。
初体験でしたがPDU目的ではなくても活用していきたいです。 - Read(読書)は、正直に言えばPDU獲得目的優先で申請してしまいました。反省点です。
「ストレングス・リーダーシップ」はストライクゾーンギリギリどころか、ボール気味のような気がしています。タレントトライアングルのバランスを戦略的に考えていないと偏ってしまいます。事実、Technicalが足りずに、「プロジェクトリーダーの教科書」をやや慌てて読んでしまった印象があります。
「お手軽PDU獲得法」だと捉える気持ちが潜んでいて、建設的な学びにならなかったのが反省です。 - プロジェクトマネジメント業務は、管理職になってからしばらく離れていたのですが、たまたま任命された案件があり、8時間以上十分に従事したこともあって申請に繋げることができました。これは本当に偶々です。
- 総じて感じたのは、「内的・内向きの活動に終始してしまった」ことです。
PMPホルダーとなって数回の資格更新をしていながらも、経験や知見を生かして周囲に影響を及ぼしたり、後進の育成をしたり、といったアウトプットがほとんどなかったことに気づき、後悔しています。
わずかながらコーチングの研修受講が日常業務に役立っている点がアウトプットに近いですが、それとて私的活動のようなもの。Giving back の活動が皆無であることが証明しています。
4.次回のCCRSサイクルに向けて
他流試合を増やし、文字通り「切磋琢磨」すること、アウトプットを通じて Giving back の貢献をすることを目標にします。
勤務先では社内SNSもあり、「発信」をしやすいポジションにいるなど、探ってみれば活かせる機会がたくさんあるので、どんどんアウトプットしていこうかと。
こう考えると、CCRSやタレントトライアングルの仕組みはよくできていて、計画的にバランスよくインプットとアウトプットしていくことを要求しています。資格更新要件だという点のみに捉われずに、この機会を採り入れて自他共にスキルアップしていきたいです。
- 社内SNS「PMコミュニティ」への発信
- 所属組織でのPM力育成のためのテキスト執筆・プレゼン作成
- 当ブログへの発信
- 社外コミュニティへの参加
- Webinarの定期的な受講
- タレントトライアングルのバランスを意識したReading
このあたりの計画を具体化して進めていきたいと思います。
ずっと思い悩んでいる、自組織のPM人材育成にも繋がれば本望。