http://www.coach.co.jp/forum2005/
コーチ21のフォーラムに参加してきた。
「個性をコーチする」のテーマで、
-岩城宏之 氏(指揮者) -西沢正昭 氏(日産自動車 人事部長) -井原正巳 氏(サッカー解説者) -宮本亜門 氏(演出家)
の4人が、講演・対談・パネルディスカッションに登場する
豪華な内容だった。
生の姿、生の声で講演を聞けるすばらしさと、
それぞれが職業は違っても、個性集団を率いていくことへの
思いを語ってくれるという内容に、ご満悦な一日だった。
■岩城宏之 氏
同じ指揮者のカラヤンを例に挙げて、
指揮者と演奏者との関係について話をされた。
-指揮はdriveではなくcarryであること -指揮者が統率しているにもかかわらず、
楽隊があたかも自分たちで作り上げたと思わせること -名指しで指摘するのではなく、周囲から助け舟を出せるようにすること
など、独自の価値観について磊落豪快に語っていた。
あまりオーケストラを聴きに行く機会はないが、 「driveではなくcarry=操るのではなく導く、向かわせる」という言葉が 印象に残った。
「指揮者」という職業の名前もあいまって、いかにも操っているような イメージがあったけれど、そういう心意気でやっていることが 新鮮な驚きだった。
■井原正巳 氏
コーチ21の伊藤さんとの対談。
いまは、「指導者を目指している」段階だそうだが、 日本代表のキャプテンとして、監督にもっとも身近な立場で
活動をしていたことをふまえ、さまざまな個性と触れた
体験を語ってくれた。
-「監督の声が聞こえないところでは、キャプテンの声が監督の声だ」
ということを、監督がチームに説明することで、
キャプテンとしての権限が明確になる -個性を把握すること。そして、監督としてのポリシーや
指針を明確に説明すること。 -結果を出せると、お互いの信頼関係が深まる。
小さくても結果を評価すること。 -監督に不信感を抱いても、試合に出ている以上は
勝つための努力をする。 -キャプテンとして、監督のサッカーを知り、信頼を強めておくこと。 -勝ったのは選手のおかげ、負けたのは監督の責任。 -信頼関係を築くのは、重要で難しく、時間のかかるもの。
お互いの信頼関係を深めるために、相手を理解すること、
評価しあうことをあげていて、これは今の自分の仕事にも
通じるところだと思った。
オフト、トルシエ、岡田、ジーコと、多種多様な監督や選手たちとの 関係などについてもざっくばらんな話を聞けて、おもしろかった。
■西沢正昭 氏
気難しそうな表情だな、というのが第一印象だったが、
話にはユーモアもあり、信念があり、おなじ企業人としても
共感できることが多かった。
-構成員の能力を引き出し、組織の能力を高め、価値を創造していく -ダイバーシティ(多様性)・マネジメント:
ほうっておくとばらばらになってしまうものだが、
これを強みに変えていく -衝突は「healthy conflict」である -一人ひとりの能力には限界がある。
どのように権限を与えて、能力を引き出していくかを
考えていかないと、構成員も、自分の仕事の幅も広がらない。
ゴーン社長のコーチング・コミュニケーションのスキルについて、 多国籍の社員とのコミュニケーションについてなど、
日産ならではの話もあり、とても新鮮で面白かった。
■宮本亜門 氏
躍動感あふれる講演で、「伝える」ことを仕事にしている
ということをすごく感じさせてくれた時間だった。
-意見を出し合っているときに、相手の発言を"感情"だと思っていないか?
"事実"や"意見"を"感情"だと思い込まないように。 -相手に対する自分の固まった心を溶かす -伝えたいビジョンをつかんでおき、話のオリジナリティと
ユーモアで場を和ませて、ビジョンを語る -一人ひとりの目標を引き出す。 -笑顔が嫌いな人は誰もいない。笑いを! -指示はしない。提案をする。 -全員が同じペースではついてこない。
人はそれぞれ本当に違う。 -相手が変わることで、自分も変わり、
目標を達成していける、楽しい時代だ。
宮本さんは昔、相手のことを考えすぎてしまい、 コミュニケーションが苦手で引きこもっていた頃があったという。
そのときに出会ったカウンセラーが「話を引き出して」くれたことから、 伝える、引き出す、ということに目覚めたのだという。
バランス感覚やいろいろな価値観を身につけるために、自分ももっともっと 多くの人に出会っていきたいと思う。
パネルディスカッションでは、次のような言葉が印象に残った。
-ビジョンは具体的に、砕いて話す。
忙しいときにこそおろそかにしないように。
-方針と具体策は車の両輪。
-全員が個性的。個性を引き出せる力がたいせつ。
-摩擦を避ける日本人に対し、意見を言い合う外国人は
かえって摩擦も少ない。
-新しいアイデアは(日本人)めんどくさい。
(外国人)おもしろい。初めて聞いた。
-部下の意見をどう引き出すか。
急に言われてもいえないなら、いえるような場をつくる。
-自分に批判を言う人、嫌いな人であっても、チームが向かう目標は同じ。
-関係が悪くなったときは、
(1)手遅れになる前に言い分を聞く
(2)目標を再確認して、そちらに目を向けさせる
(3)共通の目的があることを思い出させる