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「段階的なリモートワークの解除」とはどんな姿か

佐々木どうよ。です。

 

さしものフルリモートワークも、いわば緊急避難的に発生したものでしたが、いずれは緊急事態宣言の段階的な解除とともにその形を変えていくことになるでしょう。元の姿には戻りようがありません。では、どんな姿になるのか。私の職場で、という観点であることは否めませんが、何ヶ月後かに振り返る時のメモとして。

 

これを考えてみるのに、少しヒントになる記事がありました。

www.itmedia.co.jp

 結果として、「頑張っていない者」扱いされることを避けるために、会社の命令には素直に従い、また周囲の目を気にして権利であるはずの休みもとらず、長時間労働にいそしむ形となってしまいがちだ。すなわち、これまで私たちが慣れ親しんできた日本型の労働慣行には、「クビになりにくい代わりに、低賃金、長時間労働、転勤・転籍・出向といった条件を受け容れざるを得ない」という点でブラックな労働環境になりやすい要素が含まれている、ということになる。そしてそれが、業務時間内もしっかり献身的に働いているかを監視してしまうことにもつながる。

 

 記事では、「成果主義」と「テレワーク」をキーワードに、従来の日本企業文化に定着させるためには、中庸な、日本流成果主義・目標管理を導入するべし、の論調で述べられています。
従来の企業文化を持つ組織において、リモートワーク解除後の姿を想像するのに、上の引用部分はある意味での「前提」になりそうです。このあたりをふまえて。

 

禁止できなくなることが出てくる

これまで禁止されていたこと、あるいは許認可が必要であったものが、今後は許可される方向に移行するものが出てきます。

条件を満たさなければできなかった在宅勤務は、条件が緩和されるか、原則OKとなることでしょう。しかし特に、客先常駐しているようなシステムエンジニアは、自由にテレワークができるとは思えません。必ず何かの条件付きになるはず。

 

例えば、

 ●業務内容・職務から見た条件

  1. 運用管理系のエンジニア(現在でもリモート監視などしているはず)
  2. ウォーターフォール型開発の、詳細設計〜単体テスト結合テストあたりのフェーズ
  3. 請負型開発の大部分
  4. ニアショア、オフショアにも外注できそうな開発業務
    (ということで外注が進むかもしれない)

 

 ●従業員観点での条件

  1. 育児・介護(従来から認められているケースは多いはず)
  2. 呼吸器系の疾患を持っている
    ただし、喫煙習慣を持っている人は従来以上に厳しい目に晒されるでしょうね。。
  3. 通勤ルートの混雑率が高い(指標の作り方は難しそう)

 

条件に当てはまらないけれども、通勤に心理的な負担を感じてしまう従業員も増えるはずなので(私もそうです)、メンタルヘルスケアの重要性も高まるでしょう。

www.mental-health.ne.jp

 

管理する意味をなさなくなるものが出てくる

固定的な勤務時間・勤務体系が意味をなさなくなってくるでしょう。

 

「一堂に会して」の集まりは、よほどの意義を示さないと、出席する義務はあるのかなどの反発を受けることになるでしょう。そうなると組織と従業員の関係も変わってくることは必至です。一部の大企業で導入が進められている「ジョブ型雇用」が現実味を帯びてくる可能性が高いです。

 

ヘルプデスク、コンタクトセンターなどサービス時間に縛られる業務に携わっている場合でも、今後はチャットボットなどによる代替が加速していくかもしれません。

 

職務選択制や成果主義が現実味を増してくる

そうしたことから、「人に仕事を与える」日本的な仕事のしかたの行き詰まりが迫ってくるでしょう。となれば、職務選択制や成果主義が再び台頭してくる(そしてまた退廃していく) 流れが生まれると思います。

裏返せば、条件付きでテレワークを認め、勤務時間に縛られず、成果だけを評価対象とすることが可能になることでしょう。

 

段階的なリモートワークの解除とは

先日発表された「新しい生活様式」に述べられた、「できるだけテレワークしてね」の姿は、このようにかなり多面的な問題を孕んでいると感じました。

ひとつひとつ、かつ複合的に取り組んでいくことが「段階的なリモートワークの解除」に求められる課題だと思います。

ここまでの記述は主に職場での姿をイメージしていますが、裏側には例えば、教育界の「9月入学制度」によって影響を受けるパパママ従業員の課題なども控えていて、過渡期は相当の混乱が生じるはず。

格好つけて言えば不確実性の問題に直面しているとも言えて、「新しい働き方へのエンジニアリング」問題なのかもしれません。

(下記の書籍の受け売りです)

 

余談:そのほか思いついた変化点(思いついたら追記しよう)

  • フロアの座席数が減少する。
  • おじさんの声がさらに大きくなる。
  • エレベーターが回避されるようになる。
  • 階段での転倒事故が増える。
  • 狭い会議室は使用できなくなる。忌避される。
  • 向かい合う座席にはアクリル板が導入される。
  • テレビ会議システムを備えた会議室が増える。
  • ヘッドセットが支給される。
  • 在宅勤務手当が出る。しかし源泉徴収される。非課税にできないものか。
  • 「密」がつく行動を指摘される。
    密会、密教、密告、密室、密接、密偵、密約、密書、密談、密輸(そもそもダメか)・・・

 

では、今宵はこれにて。

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